インボイス登録をすべきか迷っている方に、実際に登録した人の率直な感想をお伝えします。
今のところ、登録していることのメリットはゼロです。
複数の企業と業務委託契約を結んでいるフリーランスの知人の話ですが、契約の場面で「インボイス登録が必須」と言われたことは一度もないそうです。
それでも登録している理由と、これから解除を検討している経緯をまとめます。
なぜ登録したのか
理由は単純で、在宅ワークを始めた最初の1社が、インボイス登録を必須としていたからです。
その会社と仕事をするために登録しました。当時は他に選択肢がなく、判断としては妥当だったと思います。
ところが現在、その会社との契約はもうありません。登録の理由になっていた前提が、なくなっているわけです。
その後の契約で、一度も求められていない
現在は複数の企業と業務委託契約を結んでいますが、インボイス登録の有無を条件にされたことはありません。
もちろん、これは業種や取引先によります。ただ少なくとも「フリーランス=必ず登録が必要」ではないということです。
取引先が求めるかどうかは、相手の事情次第
インボイスが必要になるのは、取引先が仕入税額控除を受けたい場合です。逆に言えば、次のような相手なら影響は小さくなります。
- 取引先自身が免税事業者である
- 取引先が簡易課税制度を選択している
- 個人向けサービスなど、そもそも相手が事業者でない
登録するかどうかは、「自分の取引先が誰か」で決まります。周りが登録しているからという理由で判断するものではありません。
登録すると何が起きるか
ここが重要です。登録するということは、免税事業者から課税事業者になるということです。
| 免税事業者 | 課税事業者(インボイス登録) | |
|---|---|---|
| 消費税の納税 | 不要 | 必要 |
| 消費税の申告 | 不要 | 必要(毎年) |
| 取引先の仕入税額控除 | できない | できる |
納税と申告の負担が増えます。取引先から求められていないのであれば、登録しないという選択も十分に合理的です。
登録の解除はいつでもできる
意外と知られていませんが、インボイス登録は取り消すことができます。「登録届出書の失効(取消し)」の手続きをすれば、免税事業者に戻ることが可能です。
ただしタイミングには注意が必要です
消費税の申告はその年(課税期間)の1年分が対象になります。年の途中で解除しても、その年分の申告義務は残ります。
そのため知人は、解除のタイミングを12月に予定しているそうです。年の区切りに合わせるほうが、申告の扱いが分かりやすくなるという判断です。
※取消しの効力が生じる時期には手続き期限のルールがあります。実際に手続きする際は、必ず所轄の税務署または税理士にご確認ください。
登録すべきか、判断の目安
登録したほうがよい場合
- 取引先から明確に求められている
- 登録しないと契約や単価に影響が出ると言われている
- 取引先の大半が課税事業者で、今後も継続したい
登録しなくてもよい場合
- 取引先から求められていない
- 個人向けのサービスが中心
- 売上規模が小さく、納税・申告の負担のほうが重い
「求められていないのに、念のため登録する」必要はありません。迷ったら、まず取引先に確認するのが確実です。
もし登録するなら、申告の準備もセットで
登録して課税事業者になると、毎年の消費税申告が発生します。ここを甘く見ると、申告漏れや特例の適用忘れにつながります。
実際、2割特例の記載を忘れて余分に納税してしまった例もあります。会計ソフトを使えば、申告書の作成から特例の判定までを支援してくれます。
まとめ
- 実際に登録して活動しているが、契約で必須と言われたことは一度もない
- 登録したのは最初の取引先が必須としていたため。その契約は現在ない
- 登録すると消費税の納税・申告義務が発生する
- 登録の要否は自分の取引先が誰かで決まる
- 解除はいつでも可能。ただし申告は年単位なので、タイミングに注意
周りが登録しているから、という理由で決める必要はありません。まずは取引先に「インボイスは必要ですか」と聞いてみてください。それが一番確実な判断材料になります。
※本記事は実体験をまとめたものです。税制は改正されることがあり、個別の事情によって最適な判断は異なります。ご自身の状況については、必ず所轄の税務署または税理士にご確認ください。
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